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{かくれんぼ(前編)} 「あぁ~あダリーぜ」 悪態つきながらリビングで身体をダルそうに動かす俺がいる。 何故こんなダルいか、というと、今日はあいつ等達のメンテナンスをやるからだ。 最近はバトルの回数が多く、色々と損傷箇所を見つけたり身体能力の更新をチェックをしないといけない。 さらに付け加えて言うならば俺の違法改造武器をフル装備してバトルをするもんだから経験値データがハンパなく蓄積データとしてあるため、メンテナンスでクリーンアップしたり断片化されたデータも最適化しないといけないのだ。 正直に言うと…萎える…。 このメンテナンスの仕事の量は大量過ぎるし俺には四人の神姫がいる。 GRADIUSは厳密に言うと神姫じゃないので数に入れない、どちらかというと武器の方だ。 だからその分はアンジェラス達もより早くメンテナンスが終わって楽という事。 「…そろそろ行くか」 煙草を鉄で出来た吸殻入れにブチ込み、自分の部屋に向かって歩く。 準備はとっくに用意しといたので、後はあいつ等がクレイドルに座ってスタンバイしといてくれれば万事O・Kー。 まぁそこからはダルいメンテナンスが始まるんだけどね…。 はぁ~、溜息が止まらない。 ドアノブに右手で握り回す。 「お~い。お前等いるか~?」 ドアを開けながら自分の部屋にズカズカと入った瞬間、俺が見た光景に更なる溜息を吐かせる原因が出来た。 その原因とは言うと…。 「…はぁ~…イネェ~…」 そう、クレイドルに座ってる奴は一人も居なかったのだ。 マジで?と思いながら俺は椅子に座りノートパソコンの近くに置かれている煙草とジッポを手に取り、煙草に火を付けて煙草を吸う。 そしてまず最初の一言。 「なんでイネェ~んだよ」 空っぽになっているクレイドルを睨みつけながら言う俺。 今日はツいてないみたいだ。 でもまぁここは悪運に強い俺に期待しよう。 必ず奴等を見つけ出しメンテナンスしてヤる。 じゃねーと姉貴に怒られるのは俺だからだ。 一応、これもバイトの一環でやらせられてることだがらな。 ほんでもって、ちゃんとメンテナンスしてないと姉貴のクソ長ったらしいぃ~説教時間をクらう訳。 イヤだ、そんなのは絶対にイヤだ。 <? Some lack?> 「ん?あぁ、グラディウスか。全くもって不足だよ」 武装神姫が四人程な。 両刃剣を持ちながら来たグラディウスは徐にクレイドルの方を見て、次に俺を見ながら。 <Was it maintenance?> 「そ。あいつ等のメンテナンスをヤろうと思ってだんだが、ご覧の通り。バックレやがった」 <Now, there is a problem. Master is useless> 「『駄目』だしする程じゃないけど…俺が怒られるのは勘弁ならねぇから探し出すまでよ」 <I cooperate right now> 「サンキュー♪でもまずお前からメンテナンスした方が早いから今のうちにやっとこうぜ」 <consented!> 両刃剣を一番目のクレイドルの隣に置き、クレイドルに寝そべるグラディウス。 そんじゃあ、メンテナンス開始しますか。 ノートパソコンのキーを叩き次々にグラディウスのデータを調べ上げる。 ふむ、どうやらグラディウスには戦闘以外でも色々と蓄積されたデータがあるみたいだ。 それに人型に変形している時間帯が最近多くなってみたいだな。 まぁあの四つのペンダントの内、唯一人型に変形できて自立行動が出来る武器だからな。 カタカタとキーを叩きメンテナンスをしていく。 「………こんなもんだろ。はい、終わったぜー」 <Thank you> クレイドルから降り両刃剣を拾うグラディウス。 これでグラディウスのメンテナンスは終わった。 にしてもこのクレイドル、普通に一般で売られてるクレイドルとは少し違う。 なんでこんな所に『No Step』て書かれているんだよ。 そんなに危ない場所なのか? でもまぁ番号はあいつ等の順番通りだからいいとして…。 「なんで裏に注意書きが書いてあるかなぁ~。本当は英語で警告て、書かれてるんだけど」 <…?> 「いや何でもない。そんじゃあ奴等を捕まえに行きますか」 <Yes!> グラディウスと共に四人の武装神姫を探索するため立ち上がった。 …にしても気になる。 あのクレイドルはVIS社の支給品だ。 姉貴には必ず充電する時とか、メンテナンスする時はこのクレイドルじゃないといけない、と言われたし…なんだか気にクわない。 あの警告に書かれている内容はあまりにも厳密過ぎるし、話すと長くなるからまた今度。 今はア・イ・ツ・等のかくれんぼに付き合わないといけないからな!
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2nd RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~1/4』 「隠してたわけじゃないんだけど、その…………ね?」 「ね?」 と言われても、俺には何のことだか皆目見当がつかない。 キィキィと軋むオフィスチェアの上で体育座りをした姫乃は、苦笑いのような、バツの悪そうな、形容し難い顔を俺の目から背けた。 服装は昨日と似たり寄ったりの、というか年間を通してカッターシャツにロングスカート(夏は半袖、冬は野暮ったいダッフルコートを追加装備。 日ごとに色が変わるだけ)、肩甲骨のあたりまで伸ばした髪は後ろで一つにまとめ、細身のシルエットによく似合っている。 姫乃がこの狭く汚くボロく散らかった六畳一間 (フロ・トイレ別!) にいてくれるだけで空気が綺麗になったように思う。 いや、事実姫乃がいると、玄関からベランダの窓際まで幸せな香りで満たされる。 小説やドラマでよく見かける 「風に運ばれてくる彼女のいい香り」 とはこのことだったのか。 付き合い始める前から度々、講義と部活を終えた後はこうして俺の部屋を訪ねてきてくれるわけだが、未だこの幸香(造語)に飽きることはない。 それとも、慣れることはない、とでも言おうか。 人間、己が身に過ぎた幸せを恐れるものである。 手を伸ばせば触れられる所に姫乃がいることが、怖いのである。 だってそうだろう? 晴れて大学生となって一人暮らしを始めて、借りたボロアパートの隣室に俺と同じ新入生の女の子が越してきて、しかもその子は可愛さと美しさを足して二を掛けたような容姿で、さらに目が眩むほどの笑顔で俺に微笑んでくれて、そんな子が友人になってくれて、今は俺の部屋で体育座りをしてくれているなんて、今この瞬間も 「これは究極の悪夢じゃなかろうか」 と自分の正気を疑ってしまうほどだ。 ――幸福が過ぎる夢は、目覚めてしまえば重荷にしかならないのだから。 「そうか。 ならば私がその重荷を降ろしてやろう」 いつの間にか俺の肩によじ登っていた姫乃の神姫 『ニーキ』 はそう言うや俺の頬を抓った。 いや、神姫の手のサイズだと、抓るというよりは、 「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっての!! お前のサイズでほっぺつねりやるとなあ、蟹に挟まれるみたいに痛いんだぞ!!」 「ニ、ニーキ駄目! どうしたのよいきなり弧域くん攻げ……あああああほら内出血してる!」 椅子から転げ落ちそうになるくらい慌てふためく姫乃とは対照的に、ニーキはあくまでクール(?)に 「そんなもの唾でも付けておけば――ヒメ、君の唾である必要はないんだぞ」 と言い放った。 くそ、もう少しだったのに余計なセリフを吐きやがる。 というかハナコといいニーキといい、神姫ってやっぱり読心機能ついてないか? 「いくらコアセットアップチップが高性能だからって、人の心が読めるわけないだろう。 それと弧域、君はヒメに舐められたいのか?」 「ばっちり読んでるじゃねぇか!!」 姫乃の神姫だから持ち主に似て可愛らしいものだとばかり思っていたのだが、よくよく考えると “神姫は持ち主に似ない” ことは貞方とハナコが一片の矛盾も無く証明していた。 「しかし、どんな男かと思えばこんな奴だったとはな。 ヒメが毎日のようにこ――」 「あー! わー! もうニーキ、少し大人しくしてて!」 姫乃に掴み上げられ、パソコンを常備している机の上に降ろされたニーキは言いつけ通り、澄まし顔で大人しくなった。 黙ってさえいれば、悪魔型神姫・ニーキは武装がなくとも神姫としての魅力に溢れている。 空色の髪をツインテールにして、身体は黒を基調とした悪魔色が鈍く光る。 引き締まった顔に尖った耳がよく似合い、バトルの時は氷のような眼差しと凄惨な微笑みが鉄槌を下すのだろう。 フィールドに立つ、ただそれだけでストラーフ型はオーディエンスへのパフォーマンスとなる。 ……それを姫乃が分かっているかは別の話だが。 「なあ姫乃。 なんで神姫を買おうと思ったんだ?」 「それはもう可愛いもの。 すんごく可愛いんだもの。 工大駅前のヨドマルカメラで電球探してたら、おもちゃコーナーの前でストラーフ型神姫がこう、手を振ってくれてね、一目惚れしちゃったの」 貯金はだいぶ減っちゃったけどね、にはは。 と苦笑いする姫乃に、ニーキを買ったことを後悔する素振りはまったく無い。 「ヨドマルなら神姫に呼び込みさせたりもするだろうな。 ――誰かに誘われて買ったり、じゃなくて?」 「ん? 私の周りはホイホイさんばっかりよ。 神姫持ってるのは鉄ちゃんくらいかな」 「ふうん、そうかそうか。 うん、そうだよなあ」 「?」 ツマラナイことで頭を抱える必要など無かったのだ。 姫乃が浮気? 無い無い無い無い断じて無い。 先程までの杞憂は、そう、ちょっと貞方に遅れを取った焦りから生まれたものだったのだ。 ……と強がってみても、心配など皆無、と言えば嘘になる。 一ノ傘姫乃の魅力があれば男なんて選び放題好き放題だろうに、何故俺なんかを選んだのか、姫乃が隣にいる時はそんな不快な考えばかりが頭を過ぎってしまう。 たかが人形一体で勘繰ってしまうほどに。 姫乃の裏の顔を想像してしまうほどに。 「どうしたの弧域くん。 顔が怖くなってるよ?」 そんな俺の一人相撲を知ってか知らずか、姫乃はまた椅子の上に戻って体育座りしている。 裏の顔、ね。 そんなものがあっても俺はすべてを受け入れる、なんて歯の浮くような台詞を吐くつもりはないけれど、ドス黒い姫乃というのも、それはそれで悪くない。 「しかし姫乃も神姫マスターだったとはね。 俺も買おうかなあ。 んでもってニーキと勝負してみたりさ、楽しそうだぜ」 「え? ……あ、うん、そう……かな」 姫乃の顔が再び、なんとも形容し難いものに戻った。 さっきからどうも様子がおかしい。 分かり易過ぎるほど神姫の話題を避けているようだが、その割にはヨドマルでの出会いをあっさりと白状(告白?)してみせたし、目を逸らすのは決まってどうでもよさそうな話の時ばかりだ。 思えば、俺が神姫の話をしようとした時も、興味がないフリをして話題を避けているようだった。 俺が小一時間ほど “不出来なCDほどフリスビーに向いているのは何故か” を語った時も話に乗ってくれた (というより説教された) 姫乃が、何故こんな話題に口ごもる必要がある? 思い当たるふしは……あー、カツカレーの食べ過ぎだろうか。 「カツカレーで何かが変わると思っているのか。 ヒメ、君の彼氏は馬鹿だぞ」 「心を読むな! そしてもうちょっとオブラートに包めよ!」 「否定はしないんだな」 「お前、人の揚げ足取るの大好きだろ」 「君が見下げ果てた野暮天だからヒメが困っているんだ」 「ちょ、ちょっとニーキ、あんまり――」 「たまには言葉で真っ直ぐ伝えてやるのもこの男のためだぞ、我がマスターよ」 「~~~~っ」 ニーキは言いたいことを言い終えたのか、再び元の寡黙な人形に戻った。 その隣で椅子をキイキイと揺らす姫乃は自分の膝に顔を埋めて――黒髪の間からのぞく耳を真っ赤にしていた。 「言い難い事、あるのか?」 こくり。 頭を縦に動かした。 「怒ってる、とか?」 ふるふるふる。 頭を左右に振った。 「悲しい事だとか」 ふるふるふる。 「あー、じゃあ恥ずかしい事だとか」 こくりこくり。 恥ずかしいこと? 今までの会話のどこに恥ずかしがる要素があった? ますますわけがわからない。 一人で混乱していると、くぐもった声が聞こえてきた。 「……だって、神姫なんだもの」 「うあん?」 「弧域くん、神姫――欲しい?」 「え、くれるの? でもなあ、ニーキはちょっとキツいしなあ、」 「ニーキは駄目。 そうじゃなくて、自分の神姫、買いたい?」 欲しいかと問われれば、そりゃあ欲しい。 着せ替えのように武装させてみたいし、バトルだってさせてみたいし、この隙間風が寂しい部屋に神姫がいれば少しは寒さも和らぐのかもな。 だが、物はいつか壊れる。 熱力学第二法則(第一だったか?)がある限りどんな物でも例外ではないし、神姫だってもちろんその例に漏れない。 負担が掛る可動部はメンテナンスをしていても取り替えが必要になるし、バッテリーも技術が進んだとはいえ充電を繰り返すごとに容量が減っていく。 これらはまだ取り替えが効くからいい。 だがCSCなんて、外部からの衝撃でどんな影響を受けるか分かったものではない。 ――ホイホイさんになぶり殺しにされたマオチャオがそうだったように。 未だあのマオチャオが、持ち主だった弓道部部長の泣き叫ぶ顔が、頭から離れないのだ。 ……あんな別れ方をするくらいなら、最初から神姫なんて持たないほうがいい。 「どうだろうな。 欲しいような気もするし、欲しくないような気もする」 「どっちよ。 欲しい? 欲しくない?」 「俺にもよく分からないんだ。 神姫で遊びたくもあるし、なんつーかほら、犬とか猫とか、死に別れが嫌だから飼いたくないってよく聞くだろ。 あんな感じ」 「弧域くんっていつもはハッキリしてるのに、たまにものすごく優柔不断になるよね」 何故俺は責められてるんだ? 「いいだろ別に。 ハッキリさせなきゃいけないことでもないし」 「よくない」 「いいだろ」 「よくない」 「なんで」 「だって…………よくないんだもん」 姫乃が何を言いたいのか分からないが、少なくとも二人の間うっすらと見える溝をゼネコンが本腰を入れて掘り始めたことだけは確かだった。 俺にどうしろってんだよ、ゼネコンは誰の命令を受けて着工したんだ。 国か? 国なのか? 国土交通省のせいで俺達は付き合ってから初となるケンカをしようとしているのか! 「何がよくないんだよ。 俺が神姫を買っちゃ駄目なのか?」 「駄目っ! ……じゃない、けど……」 「なら買わないほうがいいのか? そりゃあ神姫は高いからな、そう簡単には買えないけどさ」 「そうじゃなくて、そうじゃないの!」 「どっちだよ! 俺は買うべきなのか、買っちゃ駄目なのか!」 「だって! ……だって……」 「だってだって、さっきからそれば――」 言いかけて無理矢理口を噤んだのだが、もう遅かった。 さっきよりも顔を真っ赤にした姫乃が、目に涙を浮かべて俺を……敵のように、睨んでいる。 怒った顔も可愛いんだなあ、なんて考えてる暇があれば謝罪の言葉の一つでも出せばいいものを。 何が悪かったのか皆目見当もつかない俺はどう謝っていいかも分からない。 言葉が出ない。 ぐぅの音も出ない。 希望も何も出てきやしない。 ああ、こりゃもう駄目だ、嫌われたな…………短い春だったな………… 「だって…………だって…………神姫だって、女の子なのよ!!」 「……………………は?」 「神姫はずっと持ち主の側にいるのよ! 弧域くんがもし神姫買ったら、弧域くんはずーっとその神姫と一緒なのよ! わ、私がいない時も!!」 「……………………」 「そんなの! ……そんなこと………………嫌なの」 「……………………」 「ごめんね。 幻滅したよね。 私、すごく嫉妬深いんだ」 「……………………」 「嫌いに、なったよね」 「ンナワケねぇだろおおぉぉぉおおがあぁぁぁああぁぁああああ!!!!」 椅子の上で丸くなっていた姫乃を抱え、ベッドに放り投げた。 「きゃっ!?」 ああもう、悲鳴も可愛い! あっけにとられた顔も可愛い!! こんなに可愛いのに? こんなに愛くるしいのに? 頼まれても嫌いになれるものか!! 「ちょ、ちょっと、弧域くん? 落ち着こう、ね?」 「安心しろ。 俺の頭は今、一面のコバルトブルーだ」 「晴れてる! 頭が晴れてる!」 目を丸くした姫乃に覆い被さるように手をついた。 アルミ製のベッドがギシギシと今にも崩壊しそうな音を立てた。 このベッドもついにシングルからダブルに昇格する時が来たか(?)。 自分の呼吸がどんどん荒くなっていくのが、他人事のように感じる。 体が、心臓の鼓動が、自分のものでないような感覚。 だがそれでも俺は、自分を見失うわけにはいかない。 俺は今、姫乃の目やら唇やら何やらを凝視するのに忙しいのだ! 「あ、あの、私まだ心の準備といいますか、心臓がドキドキして苦しいんですけど……」 「安心しろ、俺もだ。 だがそんなもの、勢いだろう?」 「い、勢い? そ、それにね……その……」 「まだ何かあるのか。 そうだな、今の内に全部言っておくといい」 「まさかこうなるなんて思ってなかったから……」 「うん、そうだな」 「………………今日の下着、あんまり可愛くないの」 「さらば理性ィ!!」 カッターシャツのボタンを一つ一つ外すのも間怠っこしい!! 安心しろ姫乃、今直ぐ全ボタンを引きちぎって、その可愛くない下着とやらを拝んで―――― 「獣め、そんなに規制されたいか。 レールアクション『血風懺悔』」 ずっ。 そんな音が眉間の辺りから聞こえたかと思うと、勢い良く赤いものが飛び出してきた。 「うおおおおおおお!?」 なんだこれ、なにがあった、興奮しすぎて血管が切れたか!? とにかく止血しようと、ベッドに頭を押し付けた。 「きゃあああああああ!? 弧域くん大丈夫!? え~っと、え~っと、そうだ、頭より心臓を高くしないと!」 「『血風懺悔』――受けた者は血風を撒き散らしながら許しを乞うように頭を地になすりつける」 私の得意技だ。 と勝ち誇るような声が聞こえる。 腹立たしいくらいニヒルに笑っているのだろうが、今は視界一面が血で濡れたベッドカバーだ。 「ニーキ!! 弧域くんに恨みでもあるの!? 初対面でしょ!?」 「ヒメも案外野暮天なのかもな。 君達は君達が思っているよりもずっとお似合いの仲だ」 「おいコラ、マジで血が止まらねぇぞ!」 「どういうことよ」 「さっき自分で言っていただろう、 “神姫だって、女の子なのだよ”」 「こ、このやろう人様の眉間に穴空けといて無視かよ……上等じゃねぇか、この借りは神姫バトルで返してやる!!」 叫んだことで穴が広がり、ベッドのシミはさらに広がっていった。 このとき俺は、絶対に武装神姫を買ってニーキを同じ目に合わせてやることを、固く心に誓った―――― NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~2/4』 15cm程度の死闘トップへ
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人物紹介 ホビーショップ エルゴ編 人物紹介 ホビーショップ エルゴ編日暮 夏彦(ひぐらし なつひこ) ジェネシス 犬吠埼 凛奈(いぬぼうざき りんな) 高階 雛希(たかなし ひなき) オウカ(仰華) 日暮 夏彦(ひぐらし なつひこ) 性別:人間・男 通り名:G 一応当作品主人公。よく訓練されたオタ。 商店街にあるホビーショップ、エルゴの店長。 その神姫関連に偏りきった商品ラインナップは店員をして「狂気の域」と言わしめる。 基本的にその突き抜けた生き様から男性受けが良く、女性の失笑を買うパターンが多い。 普段は面倒見が良く気のいい近所のお兄さんだが、ひとたびスイッチが入ると 台詞、行動がやたらとアツくなるヒーロー気質。 素に帰ったときに照れが残る辺りが姉に言わせれば「甘い」 クールな男を気取りたいのか素なのか、プライベートでは少し皮肉っぽい言い回しを 好む傾向がある。 スイッチがオタスイッチと混線している為に、アツさの方向が偶に無軌道にブレる。 小さい頃から姉の理不尽な専制政治に耐えてきた為、強制的に色々鍛えられてきた。 特に趣味と実益を兼ねるコンピューター技術と工作技術はプロ級。 神姫犯罪が目立ち始めた頃巻き込まれた事件を切っ掛けに、正義の味方を名乗り 神姫犯罪に立ち向かうようになる。 苦労も多いが基本的に趣味と主義に生きれる人生に本人は満足げ。 最近は慣れないラヴコメ展開の渦中に。 ジェネシス 愛称:ジェニー タイプ:ヴァッフェバニー 通り名:Encount Striker、見敵必殺の神姫 夏彦の武装神姫。 平常時はエルゴの店員として働いている。 また、日常生活に関係して神姫を連れて行けないマスターに代わり、神姫の面倒をみたり 人間社会について勉強したりする「神姫学校サービス」の教師役もしている。 ディスプレイ用素体に偽装したボディを仕様。 マシーンズシステムにより胸像偽装ボディから腕、下肢パーツ換装で神姫形態へと 「変身」する。 そのシュールな胸像姿から生徒の皆様に「うさ大明神様」の名で親しまれる。 移動を考慮して胸像形態でも飛行可能な機能が加わった。 いつまでたっても日常生活用の素体を購入してくれない夏彦を疑問に 思っているが夢とか愛着とかのワードで誤魔化されている。 実は素性を隠す為、PC接続時の処理能力向上の為など愛着以外の理由もあるのだが 既に遣り取り自体を夏彦が日常視して楽しんでいる為、真相は知らされない。 また、日暮家の家事担当でもあり、家事用に人間サイズの違法ボディを持つ。(元愛玩用) ボディとの接続は頚部のリンクコア内に収納接続される直接接続方式。 人間ボディ時には「秋月 兎羽子(あきづき とうこ)」の偽名を名乗る。 性格は生真面目で母性的。 能力の割にその生き方から社会性がついて来ない夏彦を呆れながらも的確に補佐する。 持ち主の影響かそれなりにあちらの文化にも造詣がある。 リミッター解除のおかげで人間を躊躇なく攻撃出来る為、怒ると非常に怖い。 が、主に被害に遭うのは悪党と突っ込まれる面々なのでそれほど実害はなかったり。 また主同様にヒーロースイッチを持っているのか、偶に普段からは考えられない アツい言動を見せる事がある。 夏彦に神姫とマスター以上の感情を持っているが基本的に真面目なのが災いして 感情のやり場に困る事が多い。 告白以後は普通の恋愛に憧れる一方、周囲の濃い面々によって順当に間違った方向へ。 武装解説: ▽基本性能 本来のレギュレーションを大きく逸脱しており、通常の神姫に掛けられたリミッター類 は全て解除されている。 その為、正式なカタチで公式戦に参加する事は出来ない。 文字通り普通の神姫としての生活を捨て、悪と戦う為に生まれたヒーローモデル。 また、各戦闘を想定した多数のオプション装備を持つ。 使用頻度が高いのはMMS随伴戦闘機・ソードダンサー改「リボルケイン」で 搭乗、合体等を駆使する事でジェネシスの戦闘力をさらに拡充する。 ◆G-1(現在爆破により消失) E.S…遭遇戦域対応を目的としたフルカスタマイズモデル。 主な装備は銀の可変アーマー「シャドウムーン」と背中の複合兵装「ブラックサン」 大型装備は背部ブースターから伸びるフレキシブルアームで全て接続し、状況によって 装備位置の変更、可変によりあらゆる戦況に対応する特別仕様機。 その重装備のため通常移動はフライトユニットで行う。 ◆G-2「アナザーシャドウムーン」 剣術使用の近距離戦闘特化モデル。 コードG.B.H(後述)を使用する為のモデルでもある。 メンテナンス性の向上と超高速戦対応に重点を置き、パワーとスピード、処理能力 の底上げが成されている。 反面、砲撃戦等の遠距離戦闘や広範囲、集団戦での攻撃能力等は低下している。 主な装備はアムドライバーシリーズジェナスゼアム及びネオニルギースのパーツ類 から推進系等を改造されたアーマー。 背部に追加ブースターや射撃武器を積んだ強化バックパックを装備。 射撃武器の内訳は同シリーズのバリアブルランチャー一式と実弾攻撃用の フォールディングキャノンをバックパック左右に搭載。 メイン武装は両肩に装備されたアブソリュートソードとアムバスタードソード。 アーマーの両肩、胸、バックパック、そしてベルト内にサブジェネレーターを搭載し、 そこからのエネルギー供給で一時的なパワーブーストが可能。 特にベルト型ジェネレーター「キングストーン」は電気以外にも光や熱を媒介として エネルギー変換が可能な特別製。 ◇電脳戦専用攻撃プログラム「剣の英雄の系譜(Genealogy of Blade Hero)」 略称 コードG.B.H、U.B.W.ver.G 等。某ゲームの固有結界「Unlimited Blade Works」を プログラム的に再現強化した物。 無論、仮想空間内でしか使えない奥の手。 ジェネシス及び処理用のサブPCの処理能力の殆どを使って発動する。 無数に降り注いだ古今東西のヒーロー武器の能力を、特定空間内(結界内)の情報 に干渉し書き換える事でリアルタイムで再現する。 結界が形成されるのは書き換えの為の一種のフォーマット状態に空間を変える為。 この特製の為、元になった事物の能力を100%発揮できるが長時間事物を維持する事は マシンパワー的に出来ない。 また、待機状態のプログラムの発動には電脳空間にハッキングを掛けて制御している マスター側の他に使用するユニット側からも認証が必要。 これには同空間内の他のユニットからの干渉に対するセキュリティと、発動までの タスク簡略化、情報同調による再現率強化などの意味合いがある。 具体的にはユニット側が認知し、認識している以外のプログラム(事物)は発動プロセス を踏んでも発動しない。 ユニット側が事物についての知識を持ち、認証信号を使ってプログラムキーの「欠け」を 補完する事で初めて起動する仕組みになっている。 この為、例えその場にあろうとジェネシスの知らない武器はその効力を発揮する事が 出来ない。 ワリと非効率的な弱点だがそこを埋めてこその二人の「必殺技」らしい。 犬吠埼 凛奈(いぬぼうざき りんな) 性別:武装神姫ハウリンタイプ、インターフェースボディ 職業:エルゴ非常勤バイト その正体はD-フォースの一体、D-ブラスター。 偽名を名乗り、超テキトーなエルゴの住み込みバイトをしながらジェニーと夏彦に ちょっかいを出す。 詳しい解説はリンク先参照の事。 高階 雛希(たかなし ひなき) 性別:人間・女 通り名:お嬢 16歳。私立黒葉学園高等部1年。 日暮家の居候2号にしてエルゴのオーナー権利保持者。 が、エルゴの仕事を手伝う気は一切無いらしい。 旧華族高階家の出身であるらしい事以外、詳しい身元は不明。 高階本家とは絶縁状態にある事が、本人の口から語られている。 容姿端麗、成績優秀。身のこなしは機敏だが運動は苦手。 学校では制服を着て居るが私服は例外なく和服。 年齢不相応な言動を繰り返し、素行、性格共に謎が多い。 策略家で思慮深く表だって何かをする事は少ない。 日暮冬司の元で三年間オタクとしての英才教育を受けてきたらしい。 Gの仕事に興味を持つが、どこまで本気なのかは怪しいところ。 夏彦に対しては明確に興味を持ち、アプローチを掛ける。 オウカ(仰華) 愛称:無し タイプ:ツガル 通り名:無し 雛希の武装神姫。 非情に気の毒な知能と人格の持ち主。 ノリとテンションに重きを置くお調子者。 利己的かつリアリストで悪知恵だけは働くが感情的で杜撰。 負けん気が強く、打たれ弱いが立ち直りは早い。 ツガルタイプである事にある種の誇りとコンプレックスを持っており、 粗末に扱われるとキレる。 自分に優しい人や便利な人に懐き、少しでも嫌いな人間は蛇蝎の様に忌み嫌う。 攻撃力と運動性に割り切った設定で、理屈よりも感情や本能に任せて戦った方が 能力を発揮できるタイプ。 鳴き声だけでポケ○ンの雄雌が判別できるなど、決して実生活では役に立たない 方面の能力だけが高い。 武装は刀剣類を好む。 理由「ボコッた実感が湧くから」 普段は普通の布地の着物(雛希の趣味)を纏っている。 武装解説: ◆G-Another《ライオンタイガー》 日暮 冬司謹製の武装システム。 自在剣《金砂地》と自在銃《銀砂地》という二つのマルチウェポンと、その能力を 引き出すための和服型装甲ウェポンバインダー《獅子丸》で成る。 G1開発時に夏彦の「遭遇戦域対応」というコンセプトに対して冬司が出した解答例。 オウカがバトルデビューする際にプレゼントとして作り起こされた。 トラクタービームを利用して自在に形状を変化するビームブレードで至近~中距離を アーマー内に仕込まれたパーツの組換で様々な戦況に対応するマルチシュートウェポン で至近~超長距離までを自在にこなす。 また、金砂地は増加エネルギーパックで一時的に攻撃力を激増させる事が可能。 銀砂地は砲弾の変更や同じくエネルギーパックの交換で威力変化が可能。 獅子丸は振袖型のアーマー。振袖部分に各種武装パーツが収納されており、 帯の部分に当たるビームクロス発生器で防御布を、さらに拡散発生させる事で エネルギーフィールドを発生させ防御力を底上げする。 裾部分はフレキシブルスラスターになっており加速力を確保する。 飛行能力などは無いが、地上戦及び対応戦闘ではその特性から無類の強さを発揮する。 メニューへ
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エルソード王国 部隊評価2022-03-23 21 27 04 (Wed)現在 トップページ エルソード王国 部隊評価 / このページを編集 [部分編集] 主要部隊部隊名 部隊長 人数 歩兵 裏方 タグ 簡易備考 元鯖 神の目 トリオン C F E オフ会 キンコで女勧誘、日常的なエロイプ、見抜きなどが晒されて現在最もHOTなエロ部隊。専属的な便所キャラ(。が付く女)もいるらしいたまり場は中央街のグりフォンの後ろの木のあたりで夜になるとその(。)付きの女と見抜きしてる姿が見れるとかなんとか A TANARUS Audhumra B C C ・ 通称「棚」。E鯖初期から存在する老舗部隊。E鯖初期から中期にかけては、実力的に見てEエル唯一の1軍部隊であると言ってよかった。しかし後期になると、他国部隊との実力差が狭まってきた関係で、サーチ機能を駆使した空き巣狙い部隊へと転身。I鯖以降は日曜日だけ大人数を集めて、同じことをするだけの残念な部隊へ。なお、E鯖出身部隊の大半がエルギル()大好きになった習慣を作ったのは、間違いなくこの部隊が原因である。重課金部隊でもある。 E Wounds 猪突!ビッテン嬢 C C C !W E鯖が誇る空き巣部隊。Eエル=空き巣国家というイメージを他国民に植えつけた功労者。エルギル()は大好物。 E にくきう §セフィリア§ C C D !29Q A鯖部隊ゲー時代はA鯖で最大規模を争う大部隊だった。好き勝手する雑魚メンバーに嫌気がさし主要メンバーがホルへ裏切り雑魚だけが残り現在はほぼ消滅状態。今のにくきうは名前だけが同じ別部隊と言ってもいい。半歩がPSそれしか持ち合わせない前線から蒸発するキプ帰り部隊 A ☆ボコスヵうぉ~ず☆ エクソダス D E E 凹 軍チャでネガったり白チャで煽ったりするが歩兵力は皆無。スタンにドラテジャッジ過剰ブレイクは当たり前の被せスコア稼ぎ至上主義部隊。スコア稼げる職しかできない。ここの雷皿を見たらFO推奨。 E 〆はうどぉぉん! +comet+ C E E 好きなうどんの名前 常に直結を狙ってる男が居る為、女性は要注意!生主も多数在籍している模様。犠牲者は多数。 E いろは HK27 C C E 伊 中央攻めの癌部隊 A 問題児軍団 炎の男・三井寿 B D C =問= 裏は初動のみで、奇妙な建築をすることで有名。大所帯部隊の典型として数を集めての弾圧が武器だが、少人数の場合の歩兵力は微妙。←isonoとかexeと対面するとなぜかまっさきに裏に逃げるゴミ部隊だった。僻地ガン攻めかと思いきや、次の戦場では主戦で戦ったりと気分屋な部隊である。 E 中堅部隊部隊名 部隊長 人数 歩兵 裏方 タグ 簡易備考 元鯖 たまご ひかり C D C !∩ 隠居したい古参が余生を過ごす場所として設置された部隊。部隊規約は緩く、おおよそ誰でも受け入れてくれる。部隊長は大剣以外のクラスだと毎戦5,6デットでデドラン常連。誰でもOKを謳っているものの、一部部隊メンバーはフェンサーを親の敵のごとく嫌って人権など認めてないため、笛の人は入隊しない方が無難。 E Locked Out Of Heaven いおにゃずん D D D LooH 部隊の募集要項に釣られて一時歩兵力のあるウォリ・短が集まったものの部隊長の低PS、度重なる愚行により脱隊者多数。過疎一直線。 元鯖 STRAY☆CATS 部隊長 D E E S☆C 建物の中に隠れて攻撃、半歩。初心者マークを追いかけまわすチキン部隊とブライアンも泣いている 元鯖 もこもこ 部隊長 D D D タグ 情報ください 元鯖 =α= 部隊長 C E D タグ 情報ください 元鯖 Hearts_of_Queen まじかるらーたん E C E タグ 通称「エルソードの悪魔~死の運び屋」。メンバー全員が人長クラス。少数先鋭部隊。その中でも部隊長のまじかるらーたんは30kランカーである。彼らとぶつかる場合は倍は歩兵を用意したほうがいいだろう I 過疎部隊 過疎部隊 部隊名 部隊長 人数 歩兵 裏方 タグ 簡易備考 元鯖 えふい~ぜっと ? F E Z このふぁんたじーあーすぜろを本人は満喫するとのことである。 Zeit_Ewig ☆Astraea☆ D C C 初心者支援裏方部隊。部隊モットーは迷惑かけない程度にふりーだむらしい。オフィ武器をくれるので初心者推奨。ただし、戦争では戦力外。 G Zigzag クロ E C D !Zig かつてA鯖で猛威を振るった通称「エル連」の筆頭部隊。現在はすでに形骸化し残党を数名見かける程度。 A エルソード学園 給食とぉ~ばん C E E 元バンク全一である給食による給食の為の全力僻地部隊。 I 沙羅 offstyle E C C $$ Eエル初期~中期では国内最強だったが(初期沙羅、DECOY時代含む)、何故か一般公募をしてしまい戦力が大幅に低下。次第に過疎になり産廃部隊に。 E 新兵育成班 超みすず D F E 初心者前線多デッド部隊。部隊服前線。裏方はほとんどしない。初心者育成とは名ばかりの糞P育成部隊。 I WarholicZero ピエロ D D D WhZ 古さだけなら現在残ってる部隊では全鯖あわせて十指に数えれるほどの超古参部隊。名前が出る度にいつも叩かれている可哀想な部隊。 A ★Efficient_hostile Kcuilちゃん D D D ほとんど訓練部隊。Zeit_Ewigの派生部隊のようだ。とくに特徴はない。Zeit+EH+その他で訓練をしているが部隊を作った意味はあまりないようにも思える。 I Discipline kzu B D E D 主戦部隊(大嘘)。掲示板の募集要項とは真逆のことを行っている。歩兵力がある隊員とない隊員の差が激しい。デッド無視でスコア稼ぎをするため部隊員の合計デッド数は非常に多い。敵を追いかけることしか頭にないため建築無視、ATの中で戦うなど戦術面は完全に無知である。僻地攻め、裏方軽視、領域無視、多デッド、低スコアの五重苦。 I FNS Siba C B D -FNS- 僻地部隊。歩兵力はあるが主戦にはほとんどこない。 E National_Security 志摩子さま F F F η∫ 各国から有力部隊が居なくなったエル連解散後の過疎時代に最大勢力を誇っていた後期A鯖最強部隊。既に半壊し主力メンバーの大半が引退脱退し現在は多い時でも15人前後しかいなく大部隊だったのは過去の話。A鯖後期はホルのISONOに歩兵力では劣っていたものの大量の動員数を武器に多くの戦場で安定した勝率を維持していた。 A Seeker 不明 E E E ドミ時代からある古参部隊で突撃兵との連合が有名。当時は他に有力部隊も少なくもし部隊ゲー時代に活動していれば空気だったと思われる。半歩部隊 A 評価基準 ※これらの全ては『戦争で自国を勝利に導く』という面目、最低限度の基準を満たしている前提であり、 歩兵力に関してはマイナスの行為(中央特攻・キプ攻め等)が主であれば、癌部隊としてF(論外・キック対象)とします。 人数 (21 00~24 00に戦場一ヶ所で見かけるアクティブ数) A 20人前後動員できる B 15人前後動員できる C 10人前後動員できる D 5人前後動員できる E 団体行動をしない 歩兵 (個々の強さではなく、あくまで部隊としての強さ) A 自軍を勝利に導くことができる B 上手い人が多い C 歩兵戦の基礎を理解していて、平均的な実力 D 歩兵戦の基礎ができていない E 自軍を敗北に導くことができる 裏方 (個々の裏方ではなく、あくまで部隊として参戦した場合の裏方) A 建築/召喚を重要視し、臨機応変に対応することができる B 建築/召喚を重要視し、上手くこなすことができる C 建築/召喚の基礎を理解している D 建築/召喚が不得意、もしくは殆どやらない E 建築/召喚を一切しない 上へ戻る コメント 最新の20件を表示しています。 お、見やすくなっていいね - 名無しさん 2014-04-23 18 57 04 wikiの歩兵力評価ほどあてにならないもんだな、バンク民とか少数勢が多数居てもEとかDだもんな - 名無しさん 2014-04-23 23 00 57 戦場に出てきてるやつらが弱いからじゃね?他国をみてみ。実際に今はエル1弱だから。 - 名無しさん 2014-04-27 11 43 53 des - 名無しさん 2014-07-05 20 58 41 見やすくなったのはいいんだが、もうまともに動いてるのって、にゃーとCATSというネコ系しかないな。たまに思いついたように完全勝ち馬乗りモードで問題児が活動してる程度。 - 名無しさん 2014-07-30 01 28 31 にゃーチーム 判定落とし集団 - 名無しさん 2014-12-13 22 11 31 niruvanこいつ今度は神の目に入ったな女漁りがお盛んなことでw - 名無しさん 2014-12-16 22 26 42 こいつとしゅんな♪が晒しでにゃーチーム晒してる犯人 - 名無しさん 2014-12-16 22 46 43 神の目と超みみず真っ赤過ぎまたあらしたのかよ - 名無しさん 2015-03-30 03 09 28 STRAY☆CATSno - 名無しさん 2015-07-10 07 32 25 STRAY☆CATSのクソ雑魚が足ばっかり引っ張るな糞が - 名無しさん 2015-07-10 07 32 49 ニャーチームとDesperado半歩多すぎだろしかも煽り厨が居る割には死にそうになると回線抜きとか糞かよ - 名無しさん 2015-12-03 19 19 40 評価当てにならんな…。こんなの参考にするやつもいないかw - 名無しさん 2015-12-17 17 44 23 エル部隊は雑魚狩り専門で評価はだいたいあっているぞ。まじで弱いしんでほしい - 名無しさん 2016-01-02 16 32 25 ここなっつ蜜柑=牛乳きな粉ってまじ? - 名無しさん 2016-01-07 23 32 09 des迷惑レベルで弱い。部隊で布告してゲージ負けするのホントやめて - 名無しさん 2016-02-21 01 22 23 りぃしゅのせいで部隊員がやめてるんだけど早くこいつのクビきれよ。影では嫌がってる奴多いって気づけよ - 名無しさん 2016-03-03 09 09 48 ニャーチームのゴミ弓が被せ回って使い者にならない - 名無しさん 2016-03-22 18 41 13 正直ニャーチーム以外は空気だわ。というか印象にないか過疎ってるのか知らんが。にゃーは普通に強いと思うぞ - 名無しさん 2016-05-12 03 19 27 ニャーチームは人多いよな。たまに20人くらい戦場に来るときあるし(勝てるとは言ってない - 名無しさん 2016-06-05 15 35 43 名前
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底1.2版リアルデータ表 (本ページの内容は、どい@無名騎士藩国さんの提出物なども参考にさせて頂いております) リアルデータをRDと表記している箇所があります。 HTML版 RD表 同評価ユニット同士の計算 評価に差があるユニット同士の計算 RD表 ルールブックに掲載されていない範囲のリアルデータにつきましては、小数点第2位で四捨五入して算出しています。 参考:4/15版ルールでの評価計算方法について 評価値 必要数 RD RD差分 -8 0.2 0.0 -7 0.3 0.1 -6 0.3 0.0 -5 0.4 0.1 -4 0.5 0.1 -3 0.6 0.1 -2 0.7 0.1 -1 0.8 0.1 0 1 1.0 0.2 1 1.2 0.2 2 1.4 0.2 3 2 1.7 0.3 4 2.1 0.4 5 2.5 0.4 6 3 3.0 0.5 7 4 3.6 0.6 8 5 4.3 0.7 9 6 5.2 0.9 10 7 6.2 1.0 11 8 7.4 1.2 12 9 8.9 1.5 13 11 10.7 1.8 14 13 12.8 2.1 15 16 15.4 2.6 16 19 18.5 3.1 17 23 22.2 3.7 18 27 26.6 4.4 19 32 31.9 5.3 20 39 38.3 6.4 21 46 46.0 7.7 22 56 55.2 9.2 23 67 66.2 11.0 24 80 79.5 13.3 25 96 95.4 15.9 26 115 114.5 19.1 27 138 137.4 22.9 28 165 164.8 27.4 29 198 197.8 33.0 30 238 237.4 39.6 31 285 284.9 47.5 32 342 341.8 56.9 33 411 410.2 68.4 34 493 492.2 82.0 35 591 590.7 98.5 36 709 708.8 118.1 37 851 850.6 141.8 38 1021 1020.7 170.1 39 1225 1224.8 204.1 40 1470 1469.8 245.0 41 1764 1763.7 293.9 42 2117 2116.5 352.8 43 2540 2539.8 423.3 44 3048 3047.7 507.9 45 3658 3657.3 609.6 46 4389 4388.7 731.4 47 5267 5266.5 877.8 48 6320 6319.7 1053.2 49 7584 7583.7 1264.0 50 9101 9100.4 1516.7 (計算例) 評価1+3→RD1.2+1.7=RD2.9 表より、評価5のRD:2.5 評価6のRD:3.0 RDが2.9を超えずに2.9に最も近い評価→評価5 必要数: 評価0を基準にした、その評価を満たすために必要な人数/機数 同じ評価がこの人数いれば評価を+○できる、とも見る事ができる。 RD:リアルデータ RD差分: 1個下の評価と、この評価の間のリアルデータ差分 例えば、特殊などを使用し評価を8→9にした場合、8のRD4.30→9のRD5.16で0.86上がる。 編成時に、特殊の使用や評価の異なるユニットに交代して評価を調整する場合の目安として見ると良いかも。 同評価ユニット同士の計算 人数/機数 評価+ 1 0 2 3 3 6 4 7 5 8 6 9 7 10 8 11 9~10 12 11~12 13 13~15 14 16~18 15 19~22 16 23~26 17 27~31 18 32~38 19 39~45 20 46~55 21 56~66 22 67~79 23 80~95 24 96~114 25 115~137 26 (計算例) 評価3×10人 人数10の評価+値を表より→+12 従って、評価3+12=評価15 評価に差があるユニット同士の計算 n+m (n≦m) 評価差(m-n) 評価+(n+○) 0 3 1 4 2 4 3 5 4 6 5 6 6 7 7 8 8 9 9 10 10 10 評価上昇させられるのは評価差9まで (計算例) 評価0+0=3 評価0+9=10 評価3+5 評価差:5-3=2の評価+値を表より→+4 従って、評価3+4=評価7 ※2個以上の評価を順々に加算していくと 切り捨てにより、少ない方に誤差が出る場合があるので注意
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第3部 「竜の嘶き」 「ドラゴン-4」 2041年10月30日 22:20 天王寺公園神姫センター 第3フィールド森林ステージ 森林ステージの小川を闇夜に紛れ低い重低音を奏でながら、3隻の巨大な灰色の塊が水面スレスレを航行する。 チーム名「あああああああ」 □重装甲戦艦型MMS 「ドセットシャア」 SSクラス 二つ名「キャノン・ワールド」 オーナー名「細田 勇」♂ 27歳 職業 統合商社営業マン □重装甲戦艦型MMS 「スーザン」 SSクラス 二つ名「アイアン」 オーナー名「西野 公平」♂ 28歳 職業 統合商社営業マン □重装甲戦艦型MMS 「ウォース・パイト」 SSクラス 二つ名「オールド・レディ」 オーナー名 「和田 真由美」 ♀ 29歳 職業 銀行員 対岸の青チームは何が何でもA飛行場を最悪使用不能にさせたかった。その為には陸戦MMS部隊を安全に対岸にまで送らなければならない。しかしすでに制海権は赤チームに奪われつつある上に周辺の味方MMS航空隊は連戦続きによって激しく損耗していた。その為、A飛行場からはいつでも敵機が出撃できる状態であり、このままでは輸送艦型MMSによる増援をしても撃沈されるのが目に見えていた。 味方MMS航空隊は頼りにならない。テンペスタ使いの女子高校生たちは明日までテスト中で使い物にならない。だが輸送を成功させるには何としてもA飛行場を一時的にも無力化しなければならない。しかしその為には味方MMS航空隊の援護が必要。だが航空隊は使えない。この無限のループを打破すべく、青チームは最後の切り札を使う事にした。 当時、大規模バトルロンドの常識であった航空MMSの次に攻撃範囲の広い武装神姫。それは旧世紀の主力兵器、戦艦をモチーフとした戦艦型MMSの一群であった。 青チームのオーナーたちはA飛行場に対し、戦艦型MMSによる艦砲射撃作戦を立案した。この作戦は電撃作戦でなければならないのだ。なぜならば攻撃に成功しても、撃ち漏らした敵機がすぐさま迎撃に向かってくるからだ。 戦艦型神姫の攻撃力は確かに最強クラスだが、速度は低速。逃げ切る事は難しい。迎撃されればいくら最強クラスの攻撃力を持っている戦艦型MMSといえど損害は避けられず、最悪沈没という事もありえた。圧倒的な力の象徴である戦艦型MMSを失う事は、青チーム全体の士気にも関わる。その為に白羽の矢が立ったのがこの3隻であった。 カタリナ社製の重装甲戦艦型MMS「ヴィクター級」 速度は鈍足ではあるが、分厚い装甲と強力な砲撃力を持つ重装甲戦艦型MMSにはもってこいの作戦であった。さらに同型が3隻あるといのもひとつの理由でもある。 もし投入した戦艦型が最悪沈められても、代わりがいるからである。数隻の同型で艦隊を組み闇夜に紛れて殴りこみを仕掛ける。 これらの理由も踏まえ、青チームはヴィクター級重装甲戦艦型神姫3隻による艦砲射撃作戦「A飛行場艦砲射撃」を提示した。 かくして、青チームは作戦を発動したのだった。 ゴオオオンゴオオンゴオン・・・ 低いエンジン音を唸らせながら小川を進むドセット。 ドセット「はー、大阪城公園からはるばる天王寺公園まで環状線伝ってきたけど・・・なんともなァ・・・」 スーザン「遠距離からの艦砲射撃かー、メンドクサイなーいつもの定期便みたいに決まったルートで護衛引き連れて爆撃する方がまだマシだよ」 ドセット「本当は俺たち、戦艦型神姫は同じ戦艦型同士で真正面で撃ち合いするのが筋だけどな」 パイト「まあ、どっちでもいいけどー、とりあえずバカスカ撃ちまくればいんだろ」 スーザン「この作戦、うまく行くと思う?」 ドセット「前例あるし、余裕だろ」 パイト「前例って?」 ドセットたちはべらべらとおしゃべりしながら、小川を下る。 ドセット「今からええと、ちょうど100年前だな!太平洋戦争中の1942年10月に行われた日本帝国海軍によるガダルカナル島のアメリカ軍飛行場・ヘンダーソン基地への艦砲射撃の作戦があったんだ。艦砲射撃部隊は金剛級の高速戦艦を主力とした作戦だったらしいなー」 スーザン「1942年の10月?今は2041年の10月だぜ!ちょうど一世紀前じゃねか!!」 パイト「前例って100年前の俺たちのモチーフの実績事例じゃねえか!ふざけんな!あーーーどおりでなんかマスターたちが妙に作戦をサクサクって立てるからおかしいなーと思ったんだよ!」 スーザン「だいたいよー、こんな真っ暗闇の中で撃って当たるのかよ!照準はー」 ドセット「心配するな、コウモリ型が照明弾を撃って、場所を教えてくれる。砲撃はレーダー射撃と三角法を用いたアナログ光学測定の併用な」 スーザン「めんどくせーし古臭せーよ」 パイト「GPS使って位置割り出しの方がよくね?今ならネット使って衛星とリンクできるけど?グーグルアースで誤差、3センチまでいけるぜ」 ドセット「アホォ!なにいうとんねん!衛星からの画像はアテにならへんで!画像処理されてめちゃくちゃなところに落ちんで」 パイト「けっきょくアナログか!!!あほくさ」 スーザン「めんどくせー」 ドセット「艦砲射撃任務も戦艦型神姫の十八番だ!連中に俺たちの火力を見せ付けてやろうぜ」 スーザン「めんどくせーから俺帰りたいんだけど?」 パイト「アナログアナログアナログクマー♪」 ドセット「黙れ」 2041年10月30日 22:30 天王寺公園神姫センター 第3フィールド森林ステージ A飛行場 リイン「本当ですか!?」 飛行場の片隅でリインたち、ドラッケン部隊が集まって盛り上がっている。 シャル「そうだ、マスターたちと話し合って、ついにテンペスタ対策に装備が改変されることになった、重い増加装甲とロケット弾の搭載をやめてオーバードブースタを代わりに装備する。今までの倍の高度で航空性能をUpさせるんだ」 ライラ「あれがくれば、テンペスタなんかバラバラにできるぞ!それに前にオマエのやられた仲間の整備が終わって部隊再編でおまえを小隊長に推薦しておいた」 リイン「シャル・・・ありがとう」 セシル「よかったな!リイン」 エーベル「明日は忙しくなるな」 ヒュウウウウンン・・・・パァアアンン・・・ 真っ暗だった飛行場が明るくなる。 シャル「!!」 空を見ると照明弾が明々と燃えてゆっくりと夜空を照らす。 エーベル「照明弾だ、いつものコウモリ型が落としたな」 闇夜の小川に静かに浮かぶドセットは目標の飛行場の位置をじーと見つめる。 その時、飛行場の方角から光がぱっと湧き出る。光を見詰め、ドセットはニヤリと笑みを浮かべた。 それは、計測用にコウモリ型が投下した照明弾だった。 そしてそれは艦砲射撃開始の合図だった。 ドセット「合図だ」 スーザン「照明弾、確認!」 ドセットはゆっくりと砲塔を動かす。主砲はわずかに方向・仰角を変え、さらにもっと撃ちやすい場所に移動する。 ドセット「よォーーし、では始めようか・・・全艦、撃ち方用意―」 チカチカと発光信号で合図をするドセット。 スーザンもパイトも軽口をピタっと止めて、砲撃に移る。 ドセット「撃ち方ァーーーはじめッ!!撃ッ!!!!!」 ドゴオオオオオンンドッゴオオオオオオオン!! ズン・・・ズシン・・・ドオン・・・ ライラ「なんだ?砲台型神姫か?」 遠くの方で雷のなるような音が聞こえ、滑走路からはずれた所に砲弾が着弾し爆発する。 セシル「いいや、ありゃ艦砲だな」 セシルは目を細めて砲弾の着弾位置を見る。 ガオオオン・・ズズウム・・・ドゴオオオオン・ズドム・・・ じわじわとシャルたちに向かって着弾が近づく。 シャル「まずい!!射角が合ってきた!!」 リイン「来るぞ!!」 シャシャシャシャシャシャムシャムシャム・・・ エーベル「逃げろォ!!」 ドッガッガッガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!! 飛行場で待機していた数十機の武装神姫が艦砲射撃の砲撃に飲み込まれて一瞬でスクラップに変わる。 ズッガアアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!!ボオゴッオオオオオン!! ライラ「うっわああああああああ!!滑走路が!」 地面を抉るように深く砲弾が突き刺さり大爆発を起こして神姫や武装を巻き込み大爆発が起きる。 リイン「これは戦艦型MMSの艦砲射撃だ!」 ライラ「派手ですねー」 セシル「うひいい!恐ろしい、この間の仕返しかァ!?」 シャル「これは挨拶みたいなものだ、明日はテンペスタの連中が出てきて忙しくなるぞ・・・」 ズンズズン・・・ズウム・・・ドン・・・ズズウン・・・ 12:50の「撃ち方・止め」までに、重装甲戦艦型MMSの艦隊は全艦合わせて計966発の艦砲射撃を実施した。この艦砲射撃により、A飛行場は火の海と化し、各所で誘爆も発生した。 赤チーム側は、96機あった武装神姫のうち、54機が被害を受け40機が完全に撃破され、燃料タンク、弾薬庫も炎上した。滑走路も大きな穴(徹甲弾による)が開き、A飛行場は一時使用不能となった。 もちろん、戦いはこれで終わるはずもなく、更なる激戦が後日控えていた。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「ドラゴン-5」 前に戻る>「ドラゴン-3」 トップページに戻る
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前へ 先頭ページへ 次へ 第十四話 アーマーン 「アーマーン、か。ノウマンも洒落た名前を付けるものだな」 鶴畑家所有の潜水艦内、作戦室。部屋は暗い。 大型プロジェクターがホワイトボードに光を投影し、ぼんやりと光源をなしている。そこに映し出された基地の図面を見ながら、鶴畑興紀は呟いた。 図面は基地にいるときにエイダがハッキングして取得したものだった。詳細な情報は強力なプロテクトがかかっていたが、潜水艦の指揮をとっていた執事が十分なレベルで情報を収集してくれていた。 それは島そのものの名前だった。 「アーマーンって?」 メガネの隙間から目頭を押さえつつ、理音が訊いた。 興紀は四角い小さな眼鏡を掛けて図面を凝視する。 「古代エジプトの幻獣のことだ。アメミット、ともいう。ワニの顔にライオンの上半身、カバの下半身を持つキメラ生物だ。 死者の守護獣だが、実質はほとんどの人間にとって恐怖すべき存在だったようだ。死後の審判で死者の心臓と真実の羽根を天秤にかけ、つりあわなかった心臓を食べてしまうといわれている。ま、真っ当な人間などほとんどいないから、だいたい食べられてしまっただろうな。つまりは閻魔大王みたいなものだ」 「島の名前にしてはずいぶんおかしな語呂ね。ここはエジプト沖なの?」 すると執事がスライドを一つ動かす。 「いいえ、ここは日本からそう遠くない太平洋上です。この島は天然の島ではありません。人工島、メガフロートなのです」 緑色の写真が出た。 「本艦の潜望鏡から見た、アーマーンです」 そこには海原に浮かぶ、人工構造体が写っていた。 理音は島に連れてこられたときのことを思い出した。 あのとき、植物が一本も見当たらなかったのは、深夜で視界が利かなかったからではなかったのだ。 スライドが動き、図面に戻る。 理音はいままで勘違いをしていた。 図面には、理音たちの閉じ込められていた基地の構造が書かれていた。理音はそれが島の一部に建てられてある基地のマップだとばかり思っていた。 それは島そのものの図面であった。 「ちょっとまって」 テーブルに座っていたクエンティンが口を挟んだ。 「アタシ、森を見たわよ。その森の間から飛行船が飛び立つのも」 「おそらくそれは、中庭か何かだろう。職員の厚生施設のひとつなのかもしれん。その下に飛行船発着場が偽装されていたんだ」 興紀がすぐに補足する。 「しかしわからん。こんな大掛かりな構造物がどうして今まで怪しまれなかったんだ?」 「この島はもともと、十年前、二〇二六年に人工リゾート地として建造された娯楽施設なのです」 スライドが変わる。一転して華やかな映像。「世界最大の人工楽園」とキャッチコピーが打たれた、島の広告である。 「中途でポシャった、ってわけか」 頬杖をついて理音がふふと笑う。 「そのとおり。初めは各国からスポンサーが集まったのですが、建造費だけでも予算を五倍もオーバーしてしまい、さらにハワイやドバイをはじめとしたリゾート地から、大規模な自然破壊だ、というのは建前で、客を取られるという理由で大反発を招きましてな」 「リゾート地ってのは普通、ポンポン増えるものじゃないものね。島一個となればなおさら」 「滑稽だな。もともとハワイやドバイだって人の手で開発されてできた土地だ。リゾートなるものは自然にできるものじゃない。反発されたくらいで計画を下ろすなんて、肝が小さいな」 「お坊ちゃま、それではコンツェルンの投資している月面結婚式場はどうなるのですかな」 「ギャーギャーわめく奴には騒がせておけばいい。あれは娯楽施設などではない。大事な人生の門出を祝う大事な式場だ。宇宙へ進出しようとしている人間文明にとって必要なものだよ」 よく言う、と理音は思う。結婚式というセレモニーはもはや一種の娯楽のような一面を持っているというのに。 ましてやわざわざ月面で式を挙げようという奇特なカップルの気が理音には知れなかった。それでも、二〇〇〇年代には一般人にとって夢のまた夢だった宇宙旅行も、驚嘆するほど安価になった。そういった需要が商業的に成立するくらい見込めるのもまた事実だった。これも時代の流れか。 「話を戻しましょう。――そういった経緯で計画は頓挫。解体する費用も出ず、人工島は基礎部分を残して放置されました。管理のために出入りする何人かの人間はいたようですが、それ以外では話題にも上ることはありませんでした」 「で、ある日突然、買いたい、っていう奴が来た」 「ご明察です、クエンティン様」 クエンティンはフフン、と得意そうに鼻を鳴らした。 「それで買いに来た奴ってのは、EDEN本社だったんでしょ? メタトロンプロジェクトの開発基地を作るには絶好の土地だもんね。孤島だから情報封鎖もしやすいし・・・・・・」 「プロジェクトは本社の開発ルームで進められていた」 意外な興紀の一言が差し入れられ、クエンティンは言葉を継げなかった。 「異常な状況が続いていてみんなずれてきているようだが、メタトロンプロジェクトはもともと、単なる『武装神姫の次世代パーツ開発計画』だぞ。確かに社内では極秘計画だが、島をまるごと一個貸し切ってやるようなものじゃない。武装神姫は兵器でもなんでもないからな。・・・・・・じい、島を買ったのはノウマンだな」 「はい。ノウマン、本名リドリー・ハーディマンの個人名義で購入手続きが行われた明確な記録がございます。手続きに立ち会った当時の島の管理責任者にもすでに事情聴取してありますが、『別荘地にでもするのかと思った』と」 「開発ルームでやってきたことは、本社をも欺くためのデコイだったのかもしれんな。ルームにはプロジェクトの人員しか入れないし、その中でも中枢部には中心メンバーしか立ち入ることはできないのだろう。中で何をやっているかなんて、プロジェクトメンバーでなければたとえ上層部でさえも把握していないんだ」 「それじゃあ、あなたも入れないんじゃなくて?」 「筆頭出資者は自動的に中心メンバー並の立場におかれるはずなんだ。いままでのEDEN本社の通例ではな。何と言ったって一番必要な金を提供しているのだから至極当たり前のことだ。内容を知らなければ出資する気になれない。そもそもオフィシャル武装神姫開発のときだって、筆頭出資者である鶴畑コンツェルンは中心メンバーレベルの発言権を有していた。 それが今回はまったく蚊帳の外だ。てっぺん経由でプロジェクトメンバーに要請をしてもみたが無駄足だった」 「社長命令でも無理だったってことなの?」 「本社の制度はちょっと特殊でね。ここだけの話だが、メタトロンみたいな重要プロジェクトなどは、発足後は人員の進退をはじめとしたプロジェクト内でのやりくりが中心メンバーに一任されるんだ。たとえ社長でも勝手にメンバーの解雇や増員をすることができない。できるのはプロジェクトの中止ぐらいだが、そんなことをしたら社運に関わる。 EDEN-PLASTICSという企業は巨大すぎるのさ。デカいプロジェクトは実行されたならば是が非でも成功させなければならない。そのための制度なんだ。だからプロジェクトの立案から実行までは長いスパンが置かれる。うちもその間に出資を決め、そうした。だが計画が実行されたとたん、プロジェクトチームはだんまりを決め込んだ。実行後は出資を取りやめることなどできない。EDENが潰れたらうちも危ないからな。だから、独自に情報収集活動を行った。いや、もはや諜報活動といっていい。その過程で、中心メンバーの一人を買収することに成功し、造反の計画を察知し、プロトタイプの一体にとある情報因子をインプットすることに成功した。そのプロトタイプが、エイダだ」 ちらり、とクエンティンを一瞥する。 「エイダには機を見て開発ルームから逃げ出すよう仕向けさせる情報因子を紛れ込ませた。プロトタイプがちゃんと開発ルームで作られていたのが幸いだった。先ほど言ったデコイ、というのはノウマンにとっての、という意味だ。ノウマン以下造反グループに参加した中心メンバーは、開発ルームでプロトタイプを建造する裏で、あの島の整備や人員集めをやっていたのだろう。そして肝心のプロトタイプも、武装神姫としてではなく、ほとんど兵器として作られてしまったわけだが――」 「ちょ、ちょっとまってよ」 あわててクエンティンが口を挟んだ。 「エイダが本社から逃げ出してきたのは、アンタが仕組んだことだっていうの?」 「そうだ」 「なんでいままで黙ってたのよ!?」 「話すかどうか決めあぐねていた。お前はただの事件に巻き込まれたかわいそうな神姫で、理音嬢はそのオーナーでしかなかったからな。今は・・・・・・」 理音を一瞥。 「話す気になった。それだけだ」 「わっかんない。アンタ一体なに考えてるの?」 「クエンティン、もういいでしょう」 理音が叱った。彼女は興紀の視線に気づいていた。 「お姉さま・・・・・・」 クエンティンはきょとんとしていたが、そのままふくれっつらで黙ってしまう。 「じい、続けろ」 「はい」 スライドが二つ動く。 何かの間略図のようなものが現れた。 中心に島らしきアイコンがあり、その両脇に狼のようなアイコンとヒヒのアイコンが線で繋がっている。それだけである。注釈などのような文章は無い。 「なんだこれは?」 「諜報部が入手した図面です。詳しいことはまったく分かりません。ですが、中心のアイコンはアーマーン。狼はジャッカルで、タイプ・アヌビス。そして、ヒヒはトート神で、タイプ・ジェフティであることが推測できます」 「一体どんな意味なんだ」 「さあ、今のところはどんな説も推測の域を出られず、提示してもただ混乱するだけでしょうし・・・・・・」 『これは――』 今まで発されていなかったその声に全員の視線が向いた。 クエンティンに。 そしてクエンティンは自身の胸元を覗き込むようにしていた。 「エイダ、話せるの?」 『はい。デルフィがある程度の情報プロテクトを解除してくれました。――これは、アーマーンの制御構造図です』 「お前たちプロトタイプ二体が、この島を動かす鍵になっているというわけか」 『はい。ただし、発動キーはデルフィに与えられ、私は動かすことができません』 「じゃあお前は」 『私に与えられたキーは、停止キーです』 それで部屋の空気が張り詰めるのをクエンティンは感じた。 興紀が額を押さえてため息をついた。 「ノウマンが渇望するわけだ。どんなに作戦が進行しようと、ジェフティが外部にいればいつでも停止される危険性がある。だが、だったらはじめから壊しておけば良いだろうに」 『デルフィの発動キーは、私が存続していないと有効にならないのです』 「でも、少しうかつすぎやしないかしら」 理音が釈然としない顔をしながら手を挙げた。 「私なら、万が一を考えて両方に起動キーと停止キーを与えて、どちらか一体でも動かせるようにするわよ」 『私たちが独自に実行した対抗措置です。起動直後から強制命令プログラムを植え付けられるほんの一瞬の間で、事実を把握しつつできる唯一のことでした。その後、デルフィはプログラムによって造反グループに参加せざるを得なくなり、私は情報因子が働き脱出することに成功しました』 会議室を緊張を伴った沈黙が漂う。プロジェクターが消され、しばしの暗闇の後、照明が灯された。光度の変化に一同が目を狭めた。クエンティンだけはそうする必要がなく、ただ自身の胸元の、エイダのAIが入っている球体を見つめていた。 やがてメガネを胸ポケットにしまって、興紀が椅子をぎりりと鳴らして立ち上がった。 「作戦はじいの立案どおりに行う。人間は人間で、神姫は神姫で対処する」 「アタシの言いたいこと分かってくれたの?」 「私だって神姫オーナーだ。神姫は物だが、物ゆえの愛着すら無い、とは言っていない。――この事件が終息したら、ビックバイパーのデチューニングをするつもりだ」 「しかし、お坊ちゃま。エイダの立場が分かった以上、そうするよりは・・・・・・」 執事が何か言いたげに呼び止める。エイダが半ば恐ろしげにそちらへ注意を向けるのが、クエンティンに分かる。 が、興紀は手を向けて制した。 「立案どおりだ」 そのまま出入り口へ向かう。スライドドアが開いたところで、振り返る。 「EDEN本社の私設軍が集結するまで三時間はかかる。それまで休息をとっておくんだ」 「そんな暇ないわよ」 立ち上がるクエンティン。 「アンタも見たでしょ? あの飛行船群は今にも発進しそうなのよ。すぐにでも行かなきゃ・・・・・・」 「あれはまだ発進しない。向こうは必ず準備を万全に整えてからやる。それはこちらも同じだ。確かにお前は切り札だが、たった一体で行ってもどうにもなるまい」 「でも!」 『鶴畑興紀の言うとおりです、クエンティン。第一、ゼロシフトのプログラム因子の着床が済んでいません』 そう言われて、デルフィに会ってからずっと、リソースの三分の一を占めている処理実行中のプログラムを思い出す。 『造反グループは必ず私たちにタイプ・アヌビスをぶつけてきます。性能的にも差が残っていて、かつ相手のゼロシフトに対抗できない今の状態では、万が一にも勝てる見込みはありません』 「もしも作戦実行までに着床されなかったら?」 『そのときは現状のままで戦うしかありません。しかし、私たち一体で出撃するのと、ルシフェル、ミカエル、ジャンヌ、そしてノーマルとはいえファントマ2アタッチメントを装備した多数の武装神姫が共に侵攻すれば、ある程度の勝機は見込めます』 「どっちにしろギリギリか。現代戦にはありえない戦況よね」 「まったく新しい戦いになるだろうな。問題は、向こうは人間と神姫の混成部隊でやってくるだろうということだ。こちらには絶対に侵してはならないルールがある」 「その懸念はほとんど無いでしょう」 「なぜだ、じい」 「屋敷での戦闘で鹵獲したラプターで実験してみましたが、完全武装の兵士が持つ銃にはラプターの装甲は耐えられません。また兵士には神姫の頭脳の量子活動を阻害させるEMP発振機を装備させます。以前のバーチャルバトルで大紀様がお使いになった、あれです。向こうも十分承知の上で編成を組みます。こちらも向こうも、人間と神姫は自然に分離するでしょう」 「それでもしも混成部隊が出たら」 「お坊ちゃま、ある程度の間違いは仕方がありません。汚い話ですが、いざとなればいくらでも隠蔽できます。作戦が成功すれば、の話ですが」 「汚いことはずいぶんやってきた。あとはこの小さな切り札が納得してくれればいい」 興紀の鋭い視線がクエンティンを見据える。 いや。 これは懇願のまなざしだ。クエンティンは気づいた。 彼でも不安なのだ、この状況は。成功するかどうかも分からない作戦など、おそらく普段でも、今までやったことなどなかったから。 「・・・・・・アンタは、ルールを守りたい人なのよね」 「そう言ったろう。作戦に参加する兵士全員にも徹底させる。やむをえない場合を除いて、だが」 クエンティンは首を垂れて考える。 できるなら、神姫と人間とを合間見えさせることは一度たりとも起こしたくない。 しかし、戦闘状態にあって絶対は無いこともまた知っている。試合とはいえ、ほとんど実戦に近い経験を武装神姫はしているから。 自分の線引きが、作戦の難しさを決定する。 興紀は出入り口に立ったまま、待ってくれていた。 誰も急かすようなことはせず、数分が過ぎた。 そして、クエンティンは答えた。 「――ルールは絶対」 興紀が息を呑む音が聞こえた。 「でも、やむをえない場合はかまわない。だからって全部やむをえなくしちゃだめ」 「そうか」 そのときクエンティンはわが目を疑った。 興紀が笑ったのである。 いつも人を射抜くような目つきが、ほんの一瞬、ほころんだだけであったが。 腰の力が抜けて、クエンティンはテーブルに尻餅をついた。 スライドドアが閉まって、興紀の姿が見えなくなっても、クエンティンはきょとんとした表情で座り込んでいた。 ふいに体が持ち上げられる。理音であった。 「さ、貴重なお休みよ。満喫しなきゃね」 「・・・・・・うん」 理音の手のひらの上で、クエンティンは横になる。彼女の体温が、張り詰めっぱなしだった神経の糸をほぐしてくれた。 二人は自室として用意された副長室へ向かう。 最後に執事が消灯して退出し、会議室は静かになった。 つづく 前へ 先頭ページへ 次へ
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{奴が来た!?} 午前七時、晴天。 天薙龍悪とアンジェラス達は安らかに寝ていた。 それもとても気持ち良さそうに。 まるで天国で寝ているかのようだ。 だが、この天国はすぐに終わりがおとずれようとしていた。 天薙家の門の前に仁王立ちして両手を腰にあてながら見ている、一人の人間によって。 「ウフフフ」 薄紫色のアホ毛一本ありのロングヘアー。 スレンダーな体形に童顔な容姿。 服は一般的に何処にでもある高校の制服。 ミニスカートが風にフワッと揺れる。 「先輩、今行くわ♪」 天薙家の敷地に入りスカートのポケットから鍵を出す。 カチャカチャ、と音を出しながらドアのロックを解除しドアを開ける。 易々と家に侵入すると礼儀正しく靴を脱ぎ並べ、すぐさま二階に上がり目的の龍悪が居る場所に向かう。 龍悪の部屋に入ると四つん這いになり、ベットで寝ている龍悪の顔近くまで接近する。 「可愛い寝顔。キスしちゃいたいくらい」 と、言いつつ自分の唇を龍悪の唇に密着させようとした。 その時だ。 布団で隠れていた龍悪の右腕が布団から勢いよく出てきて、不法侵入した者の顔を鷲掴みした。 「ハワワワッ!?」 龍悪に顔を鷲掴みされた不法侵入者は、両腕を上下に振りながら慌てる。 ムクリ、と上半身だけ起こした龍悪の顔はそうとうな不機嫌さを醸し出していた。 こめかみにはプックリと血管が浮き出ている程ヤバイ状態。 「…おはやう…婪」 「お、おはよ、う…先輩」 ギリギリ、と鷲掴みした顔を龍男は力をちょっとずつ強くする。 その度に不法侵入者…もとい婪は『ハワワワ!?』と言い慌てる。 「俺に、なにしようとした?」 「あたしからの目覚めのキスをしようと思って…」 俺は右腕の肘を曲げ婪をこっちに近づかせ、最大まで肘を曲げた瞬間に腕を猛スピードで伸ばし押すように動かす。 伸ばしきった所で婪の顔を離し、婪は押された衝撃によって机までフッ飛んだ。 砲丸投げに近い投げ方になったのか。 「キャン!?」 かわいらしい声を上げ机に背中を打ち付ける婪。 なにが『キャン』だ。 気持ち悪い声を出しやがって。 「ご主人様~、今の揺れは地震ですか~?」 机の上にアンジェラスが片目を擦りながら眠そうに立っていた。 その後ろにはクリナーレ、ルーナ、パルカもいた。 多分、婪が机に当たった衝撃で起きたのだろう。 俺は布団から出て婪に近づき膝を曲げ、尻餅ついてる婪の視点に合わせる。 「ウゥ~、痛いですよ~先輩~」 「うるせぇ。俺にキスしようとした罰だ」 「そんなぁ、あたしはこんなにも先輩の事を愛してるのにー」 ピキッと俺のこめかみ辺りにある血管が再び浮き上がり、婪の胸倉を右手で掴み、お互いの額がぶつかるギリギリまで引き寄せた。 「キャー!先輩、近いですよ~。でも、あたしはいっこうに構いませんけど…♪」 「テメェ、いい加減にしろ」 「あたしは先輩に対する愛には、いい加減じゃありませんよ」 「この野郎…俺はお前の事なんか愛してねぇぞ」 「いつかあたしに振り向いてくれます」 「それは絶対にねぇー!」 今度は左手の親指を婪の右頬につけ、残りの四本の指を左頬につける。 その瞬間にすぐさま俺は左手に力を入れ婪の頬を両方から押す。 「イタイ、イタイ!」 「あたり前だろ。力を入れてるだから」 そんな時だった。 アンジェラスが俺の頭に下りて来て言う。 「ご主人様。女の子に暴力は良くないと思います!」 「はぁあ!?」 俺は頭に居るアンジェラスを掴むために胸倉と婪の頬から手を離し、その両手でアンジェラスを優しく掴む。 「あのなぁ、こいつは女じゃなくて男だぞ」 「えぇーーーー!?!?」 アンジェラスは目を見開き驚愕した。 まぁ無理もない。 婪の奴は見た目は何処からどう見ても美少女に見える。 声も凄く女の子らしい声だ。 だが、こんなナリしてるけど立派な男だ。 ちゃんとチンコがついている。 しかも婪の奴が外に出れば、たいていの男がナンパしてくる。 男が男をナンパして楽しいか? 「まぁいいや、アンジェラス達は朝飯を作ってきてくれ。アンジェラスとパルカは調理、クリナーレとルーナは補助しろよ」 「「「「はーい」」」」 アンジェラス達は俺の身体を伝って一階に降りって行った。 部屋に残ったのは俺と婪だけ。 俺は婪から離れ、服を着替えようと箪笥に向かう。 「先輩、あの子達は?」 「ん?あぁ~アンジェラス達の事か。まぁ気にすんな。にしてもお前、よく俺の家に入れたな」 「これよ♪」 婪が俺に見せびらかすかのように右手に持った鍵を見せる。 その鍵の形を見た瞬間、俺は納得した。 だって、俺の家の鍵とそっくりなのだから。 そりゃあ入って来れるよなぁ。 「お袋に渡されたのか?」 「うん。先輩の事をよろしくね、と言われたから」 「あのババァ…」 俺は髪の毛を掻きながら苦い顔をした。 十六夜 婪(いざよい りん)。 こいつは俺の後輩にして幼馴染である。 二つ年が離れてるので今のこいつは高校三年生。 言ってみれば普通の高校生なのだが…。 「先輩~あたしの事…いつになったら抱いてくれるのぉ~♪」 「身体をクネクネ動かすな!気色悪い!!」 さっきも言ったとうりに、こいつは男だ。 男なのに女子の制服を着ている。 なんでも、あまりにもルックスが良いので校長が許したとか? どんな学校だよ、俺の高校の母校は。 「お前も一階に来い。話はそれからだ」 「あたしと先輩の愛の語り合いですか?」 「あ・い・つ・ら・の・事だ!」 …。 ……。 ………。 カチャカチャ、と食器の音を出しながら運ぶ武装神姫達。 朝食の準備をしているのだ。 今まで俺が一人で飯を作ってきたがアンジェラスとパルカが料理を覚えてから俺は作らなくなった。 そんな俺は婪と向かい合いのテーブルを挟んだ状態の椅子に座っている。 婪は俺の顔を見てニコニコと笑ってやがる。なんだ、俺の顔が面白いか? 「先輩。先輩っていつから武装神姫をやり始めたんですか?」 「ん?あぁ~壱ヶ月前ぐらいからかな。よく覚えてねぇーや」 「ふ~ん、先輩の事だから朱美さんから『武装神姫のバイトやらない』とか言われたクチでしょ」 ウグッ…微妙に合ってる、つか、何で解るだよ。 婪の奴は昔から結構勘とか鋭いのだ。 まるで俺の事は何でも知ってるような感じがして気持ち悪い。 「あたしも武装神姫やってますよ。今度先輩とバトルしてみたいなぁ~」 「へぇ~婪もやってるんだ。意外だぁ」 「意外とはなんですかー!意外とは~!!」 プク~と顔を膨らませる婪。 う~ん、やっぱこいつは可愛い。 だが、こいつは男だ。 騙されはしないぞ。 「アニキー、朝食の準備ができたよ」 「おぉ。そんじゃあ喰うか。いただきます」 俺は右手に箸を持ち、茶碗に入った米粒を喰う。 アンジェラス達も『いただきます』と言って、俺が作った神姫用の茶碗、コップ、箸、スプーンを使って朝食を食べる。 最初は人形の身体なのに人間の食い物を食べる機能に驚いたが、今は全然違和感を感じない。 人間ていうのは何事にも慣れてしまったら順応しちまうもの。 慣れって怖いものだな。 婪の奴は丁寧に手を合わせてお辞儀して『いただきます』と言った。 律義な奴ー。 ていうか。 「何で、テメェが俺の食卓で飯くってるんだよ」 「え?だって、あたしの分も置かれてたからご馳走になろうと思って」 「はぁあ?おい、アンジェラスにパルカ。こいつの分はいらねぇーだぞ」 「そんな事はいけませよ、ご主人様。私達には大切なお客様なのですから」 「お客様!?この野郎が!?!?勘弁してくれよ、ただでさえ金が無いのに婪のせいで更に食費がかさむじゃねえか」 うなだれるように肩をガクッと落とす。 あぁ余分に食費が…。 「まあまあ先輩、そんなに気を落とさないで」 「落とすに決まってるだろーが!このオカマ野郎!!」 吠える俺。 そんな俺を見て怯えるパルカ。 ヤッベ。 今日の朝食を作ったのはアンジェラスとパルカだ。 婪の分まで作ってしまった事に責任を感じてしまったのだろう。 「いや、パルカが悪いじゃないよ。悪いのは婪の野郎だから。だからそう怯えないでくれ」 「ウウゥ…分かりました、お兄ちゃん」 だあぁー、疲れる。 朝食ぐらいでこんなに疲れたのは久しぶりだ。 俺が初めて料理した頃ぐらいの疲れ加減だぜ。 「婪、今日の所は勘弁してやる。だが明日からは自分の家で飯を喰えよ」 「はぁ~い」 ニコヤカな顔をしながら飯を食べる婪。 全くしょうがない奴だ。 「にしても、美味しいね。先輩の神姫が作る料理は」 「ありがとうございます、婪様」 アンジェラスがお辞儀した。 そんなアンジェラスに婪はズズイっと顔を寄せて。 「ねね、今度あたしの神姫に料理教えてあげてくれない?」 「え!?私がですか!」 驚くアンジェラス。 それもそうだ。 料理を始めてからそんなに月日が経っていないのに、今度は教える立場になってしまったのだから。 「私は別に構いませんが…ご主人様の許可してくだされば良いのですが」 「先輩の許可ね。分かったわ、任せて」 婪は椅子から立ち上がり俺の方に来た。 何するつもりだ? 「ねぇ~先輩。今度でいいですから、あたしの神姫に料理を教えてくれませんか?」 エロい声で俺に寄り添ってきやがった。 色気を使うつもりだな。 残念だがテメェの色気には昔からヤられてるから、もう慣れてるんだよ。 効かないぜ。 「許可くれたら~あたしが先輩にいい事しちゃいますよ~。チュッ」 「ダァーッ!?」 俺は勢いよく椅子から立ち上がった。 頬っぺに婪がキスしたのだ。 気持ち悪いったらありゃしれない。 これが女の子だったらどんなに嬉しかった事だったか。 「もう先輩ったら~。テレッちゃって、可愛いんだから~」 「可愛いとか言うな!もう帰れ!!テメェがいると、ろくな事が起きねぇー!!!」 「まぁまぁ、ダーリン落ち着いてください」 いつの間にかルーナが俺のコップ辺りにいた。 もう飯を食べきったのか? 飯を食うには早すぎるぞ。 「あの婪様、どうかあたしにその色気の技を教えてください!」 「んぅ、ポニーテールの天使型だね、お名前は?」 「ルーナといいます」 「ルーナちゃんね。良いわよ、あたしの今まで先輩に使ってきた色気のテクニックを教えてあげる」 「ありがとうございます、婪様!」 おいおい。 何言っちゃってくれてやがるんだ、この二人は。 ルーナの奴が婪の色気のテクニックを身につけたら、俺の脳の中身が毎日理性と欲望のバトルオンパレードになっちまう。 勘弁してくれ。 ここは何とか話題を変えないといけない。 このままだと俺の身体が危ない。 「おい婪。そろそろ学校に行かねぇーとマズイじゃねぇの。俺の車で学校まで送っててやるから」 「えっ先輩とカーセックスですか!?やったー!」 「ご主人様!?」 「アニキ!?」 「ダーリン!?」 「お兄ちゃん!?」 婪の一言によって神姫達は俺を凝視した。 …マジで勘弁してくれ。 もうイヤだ。 「チゲーよ!誰がテメェのケツの穴に俺をナニを入れないといけないんだ!!アンジェラス達も本気にするな!!!」 「下品な言い方は女の子に嫌われますよ、先輩」 「ウッサイ、黙れ!ほら、飯はもう喰ったろ!!行くぞ!!!」 「アァン、そんなに引っ張らないで~」 婪の左腕を俺の右手で引っ張りながら玄関に向かう。 早くこの色魔をこの家から追い出さないとアンジェラス達に悪い影響をおよぼす。 勿論、エッチ方面で。 「そんじゃ、ちょっくら行ってくるから留守番頼むぜ」 「バイバイ。また今度来るねぇ~。次来る時はあたしの神姫も連れてくるから~」 バタンッとドアを閉め、婪を車に乗せ俺は車を運転して学校に向かった。 その後、家に帰った時はもう疲れすぎて大学に行く気を失っていたので俺はベットに突っ伏しながら寝た。 婪、こいつは最悪な小悪魔だと、再び実感した一日だった。
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武装神姫 鳳凰カップ 実況生中継! 「みなさん、こんにちわ。この番組の実況を務めさせて頂きます、アナウンサーの花菱 燕(ツバメ)です」 二日目の午前十時、俺は昨日まで予選会場だった場所に入れ替わるようにして設置された特設巨大スタジアムの放送席にいる 観客の最大収容人数は一万五千人、中継用のテレビカメラ30台…… もうアホだ、このグループ ゲンナリしつつもやはり解説者の仕事はやらざるをえず、ノアだけを連れて決勝トーナメント開会セレモ二ーのため勢揃いしている予選を勝ち抜いてきた16組を放送席から眺めていた 葉月のヤツ…滅茶苦茶緊張してるよ… 逆にアルティはドッシリ構えてやがる さすが元八相、大舞台には強いってか ミコとユーナはどこかって? 全国放送の番組だ、流石にミコとユーナを連れての大騒ぎはまずいだろうという事で二人は香憐ねぇに預けておいた ちなみに俺の横にいるアナウンサーさんは…もうなんとなくわかるよな? 燕さんは昴の母親なんだわ 花菱財閥の令嬢なのだが、アナウンサーの道に憧れてからは夫である昴の親父さんに財閥を任せ、のびのびと天職ともいえるフリーアナウンサーの仕事をやっている そんでもって御袋と桜さんの二人と同じく幼馴染 三人揃えば元祖かしましシスターズ!! …姉妹ではないがそれほど仲が良いということだ 「それでは今日の解説者の方をご紹介します。まずは武装神姫公式リーグ、公式ランキング13位、ファーストランカーの橘 明人さんと『緑色のケルベロス』ことパートナーのノアールさん。そしてそのお隣が同じく武装神姫公式リーグ、公式ランキング16位、ファーストランカーの綾川 千紗都さんと『黒き狼』ことパートナーの冥夜さんのお二人です。みなさま、今日はよろしくお願いします」 「よろしくおねがいします」 「よろしくおねがいします」 観客席から拍手をもらう 綾川さんは俺のランカー仲間でもある 多分御袋はそこら辺も知ってて彼女を選んだんだろうな 彼女の神姫は黒いアーンヴァルの冥夜 ノアと同じく刃物使いで『黒き狼』の二つ名を持っている 「今回の鳳凰カップ〈春の陣〉はかなりのハイレベルとの噂ですが橘さん、そこのところいかがお考えですか?」 「はい。花菱さんの仰るとおり、今回の参加者は予選脱落者を含めて非常にハイレベルとなっています。『黒衣の戦乙女』や『白い翼の悪魔』、さらには『鋼帝』に『剣の舞姫』、『弾丸神姫』、『クイントス』、『蒼天の旋姫』など、多くの名の知れた神姫が集いましたからね…」 「鶴畑 興紀選手も参加していますし…これはなかなか見られない好カードのバトルとなりそうですよね。綾川さんは注目されている選手はいらっしゃいますか?」 「私は……しいてお名前を上げるとすればAグループ代表のアルティ・フォレスト選手&ミュリエル選手でしょうか」 俺は綾川さんの言葉にぎくりとする 「彼女達は米国リーグで名をはせた実力者と存じています。ミュリエル選手はファーストの神姫にも劣らないとかで…」 そのことは観奈ちゃんから教えてもらっていたのであえて触れなかったのだが… あいつが騒がれたり注目されることで面倒なことになりかねないしさぁ… ちらりと下にいるアルに目をやれば「…何故私のことに触れなかったんだ」といわんばかりにこっちを凝視していた えぇい、この際見なかったことにしようと目線を横に逸らすとニコニコしながら俺を見ている綾川さんと目が合った それにしても…おかしいな…確か彼女には俺とアルの関係を教えてはいなかったと思うんだが… 「綾川さんは去年おこなわれた第三回大会、二度目の〈春の陣〉の優勝者ということですが…」 ええ? そうだったの? 俺、初耳なんだけど… 「はい、この大会は私にとって思い出深い大会なのですが…優勝した後の大変さが身に沁みましたね」 「と、もうしますと?」 「去年の大会からこの子が『黒き狼』なんて言われ出して、挑戦者が後を絶たなかったんですよ。橘さんのノアールちゃんみたいに実力があれば対処できたかもしれませんが、私達はホントに大変でした;」 少し困ったような笑顔で微笑む綾川さん 「つまり、この大会の知名度がどれほど高いかというわけですね…。さぁ、今大会からも未来の超有名神姫が誕生するのでしょうか!? 間もなく開会セレモニーが始まろうとしております!!」 燕さんがそういい終わるとスタジアムの横から屋根が出現し始める えぇ!? このスタジアムって特設のくせに開閉ドーム式なのか!? やっぱアホだろこのグループ!! 屋根が閉まりきり、スタジアムの中は真っ暗闇に包まれた この後はジジイによる主催者挨拶である (なんとなく頭の中で『一寸先は闇』って諺が浮かんできたんだが…俺ってネガティブ?) (安心してくださいご主人様、私もですから…) ノアと小声で話していると、スタジアム中央に“カッ!”と一筋のスポットライトが輝く その光の真ん中にはジジイの姿が………って、オイ 『れでぃ~~すえんどじぇんとるめん!!ようこそ盛大なる戦姫の祭りへ』 なんか椅子に座って足組んでるよ… 赤いスーツ姿で右目には黒い眼帯だしよ… おもいっきりアレじゃねぇか… 『さて皆さん、今ここに集いしは過酷な試練を超えた十六組の小さな姫とそのパートナー達であります。まずは苦難の道を勝ち抜いた彼らに賞賛の言葉を送りたいと思います…』 あああああああああ…頼むから全国ネットでアホな姿はさらすんじゃねぇぞ!? アンタ代表なんだからな? 鳳条院のトップなんだからな? 『しかし、彼ら彼女らに待ち構えるは今までよりもさらに厳しい王者への道。己の名を広き世界へ轟かせる勝鬨を上げるものは誰なのか、しかと彼女らの放つ熱き輝きを目に焼き付けて欲しい。諸君に『五色の翼の杯』……聖杯の加護があらんことを……』 左手をまげて礼式風の御辞儀をする爺さん 流石のジジイもなんとかちゃんとした場だと言うことはわきまえ… 『それでは皆さんご一緒に!! 武装神姫バトル! れでぃ~~~~っ……』 『ゴーーーーーーー!!!!』 ガツン! と勢いを殺せないまま実況席のテーブルに額をぶつけてしまった俺とノア 燕さんも綾川さんと冥夜もひっくるめて会場全員で怒涛の開幕となった もしかして毎回コレをやってるのかあのジジイ…… やっぱアホだわこのグループ!! 「さて、続いては決勝リーグのルール説明へと参りましょう。決勝リーグもバトル方式は予選と同じくバーチャルバトルです。しかし、通常のものよりもバージョンアップしている超大型V.B.B.S.筺体を使用します」 この大型V.B.B.S.筺体はフィールド自体の大きさはリアルバトルで使用するフィールドほどの大きさだ ようするに、リアルバトルにできるだけ近いバーチャルバトルということだな 「会場の皆様や視聴者の方々には私達の放送席の向かい側の巨大スクリーンより緊迫感のある白熱したバトルをご覧頂けます」 ちなみにバトル中の両オーナーは位置的に巨大モニターが見れなくなっている 自分の神姫が何処にいるのか相手にばれないように、また、相手の神姫がどこに隠れているのかわからないようになっているんだ 「鳳凰杯は第一回戦の八試合を午前の部とし、そこでの勝者八名による再抽選をおこないます。その後、途中休憩を挟んでから残りの午後の部に移ります。以上で説明の方を終わらせていただきまして、第一試合の方に参りましょう…」 またしてもライトが消えて暗闇に包まれてからしばらくすると、東西の両端に一本ずつ光の柱が一回戦の対戦者達を照らし出す 「まずは西方、虎門よりAグループの覇者、アルティ・フォレスト選手とミュリエル選手! 彼女らに対しますはBグループを制しました鳳条院 葉月選手とレイア選手、龍門より入場です!!」 お互いに大型V.B.B.S.筺体をはさんで目線をぶつける さっきまでの緊張は何処へやら、真剣そのものの顔はいつのも葉月ではない証… 「この試合の見所はいかがな所でしょうか橘さん」 見所って言ったってなぁ こちとらいきなり身内同士の対決なわけで…… とりあえず 「決勝リーグのオープニングを飾る一戦ですからね。双方悔いのないような良いバトルを期待しています」 ありきたりだがこんなもんだろ… 「御主人様…明人さんが悔いのないように頑張れって言ってます…」 「………」 「御主人様?」 「大丈夫だよ、レイア」 「は、はい……」 「私にはレイアがいてくれる…私はレイアを信じてる」 「御主人様……」 「あの時みたいに…力がなくて、ただ兄さんとアルティさんを…二人の関係を見ているだけしかできなかった私じゃない。今の私にはあなたがいる…お願いレイア…私に力を貸して!」 「………はいっ!!」 「実力的に言えばレイアは今だお前ほどではない…ただ、エリーがどんな厄介な物を渡したのか…そこが気になるな」 「……気にするの良くない…所詮、ぶっつけ勝負…」 「そうかもしれんがエリーは武装の特性にあうモニターを選ぶだろ。お前だって何回か使っただけで《ライトオリジン》や《レフトアイアン》を使いこなしたじゃないか」 「…そう………………………だっけ?」 「…なんにしても警戒が必要ということだな」 「さぁ両オーナー、武装させたパートナーをエントリーゲートに見送ります…」 他の武装をサイドボードに置くと開始前の静けさが会場を支配する 固唾を呑むとはこの事だ フィールドは…天守閣がそびえ立つ城の中庭 散りゆく桜に満月の光が影をつくる中に二人の悪魔がお互いを見つめている 「負けるわけには…いきません…」 「……勝つ……」 『ファーストバトル…ミュリエルVSレイア、レディ………』 両者腰を落として始まった瞬間の動きを警戒する 『ゴォォォォォォーーーーーーーーーーー!!!』 「はあぁぁぁぁっ!!」 『先に動いたのはレイア選手! 開始の合図に一足早く反応した!』 いや、違う ミュリエルも反応できていたがあえて後手に回ったんだ スクリーンに映るミュリエルの表情に一片の焦りも伺えない 冷静そのもの、完全に誘っている ミュリエルはそれでも接近するレイアをバックステップで距離をとりながら手に持ったシュラム・リボルビンググレネードランチャーで迎撃 会場のあらゆる所に設置されたスピーカーから爆音が響き渡る 『クリーンヒットか!? レイア選手、開始十秒とたたずに終わってしまうのでしょうか!?』 爆心地周辺を覆いつくしていた黒煙が舞い散る桜をのせた風により少しずつ薄らいでいく レイアは満月の逆光を背に浴びながら立っていた それも…… 『レイア選手…む、無傷です! 目の前にかざした巨大な武装で身を護りました!』 目の前にかざした武装…それすなわち紛れもなくエリーからの陣中見舞い、全領域兵器《マステマ》であった 全長はLC3には満たないものの、高強度の防御装甲があるため重量で言えば間違いなく上である それゆえに攻防一体の構えが取れ、前方下と後方下についた悪趣味なほどにギラつく刃は大抵の物を重さとともにぶった切り、前の刃のすぐ上はアレンジのため高エネルギー砲となっている オマケに二機のN2ミサイル…とまでは流石にいかなくても…ASM-Ⅶ『ハルバード』レベルのミサイルを備えてある 『敵意』の名の通り…手加減容赦ない凶悪兵器を自分の前にかざしているレイア 普段はおとなしい、良い子の彼女が始めて悪魔に見えた瞬間である 『無傷…か。防御装甲の強度が半端じゃない…出し惜しみしていて持久戦にでもなれば流れはこちらに不利だぞ』 「了解、《ライトオリジン》……展開…」 右腕手首がパージされ、蓄蔵されていたエネルギーが砲身にプラズマ現象を引き起こす 『レイア、チャージ開始。迎撃方法はわかってるわよね?』 「わかっています御主人様、任せてください!」 『ファーストコンタクトを終えお互い、今だ無傷! 高エネルギー波の力比べとなるのでしょうか!』 それはマズイ 《ライトオリジン》はあらかじめ初発分のエネルギーチャージはすませているはずだ ミュリエルは慌てずに照準を合わせるほどの余流がある 「……Lock」 スコープのど真ん中に映りこんだレイア目掛け高エネルギー波は発射される 『今よ、レイア!!』 「てあ!」 レイアは《マステマ》を持ち上げる さきほどと同じくを表に来るようにするが… 『またしても防御の姿勢に入った!しかし綾川さん、それで防げるのでしょうか!?』 答えは否 受け止められたとしてもミュリエルは次の動きに入る 反動で遅れたところを《レフトアイアン》の速射砲でつめられたら成す術がなくなってしまう 万事休すの展開でも葉月とレイアの目はまだ生きている 『彼女の狙いが防御だけとは限りませんよ』 と綾川さんの一言 『同意見ですね…』 『そ、それはどういう…』 すぐに答えは周知のものとなる レイアは《マステマ》の防御装甲面を展開、下に隠れていたハルバート級ミサイルを後方刃の上部にあるもう一機とともに合計二本、全弾打ち出した 防御装甲面下に隠れていた分は《ライトオリジン》のエネルギー波を相殺し、残る一方はミュリエル目掛けて飛んでいく 『小ざかしいマネを…ミュリエル、《レフトアイアン》!!』 「…展開、迎撃開始…」 即座にパージされた左腕から銃口が現れ雨あられと弾幕を張る …なにか妙だ 普通、ミサイルの迎撃を重視するなら《アポカリプス》も使えばいい… 「彼女、何か狙っていますね…」 マイクを通さずに俺に話してきたのは綾川さんだった 彼女も俺と同じく勘付いているようだな ミサイルは《レフトアイアン》だけでも打ち落とせたが、爆発した距離が近かったせいもありミュリエルは黒煙の中に消えていった 『レイア、決めるわよ!』 「了解です!!」 『昴…借りるぞ』 「…《アポカリプス》…展開」 黒煙の中でミュリエルの呟きは誰にも聞こえることはなかった サバーカの脚力を十二分に使い、正面に《マステマ》の銃口が先にくるように構え、突進するレイア ドスン! という音が聞こえたかと思うと煙の中で両者の動きが沈黙する 完全に煙が晴れた後、そこにあった光景は ミュリエルの腹部を貫いている《マステマ》の刃 しかし致命傷とまではいかない ジャッジプログラムによる勝利判定もない、ミュリエルのギブアップもない つまりまだ勝負は続いているのだ 「《マステマ》の刃は貫き通すためにあらず、《マステマ》の刃は捕らえるために…あるです!」 レイアはそのまま銃口を天高く掲げる 銃口にはミュリエルが刺さったままで身動きをしない…… 彼女の様子を良く見なかったことがマズかった レイアから見たミュリエルは満月と重なり逆光となっていたのだ 「コレで……終わりです!!」 「カルヴァリア・デスペアーーー!!」 『だ、第七聖典!? きまったかぁー!?』 とりあえずそのツッコミは置いといて… そのまま銃口から放たれる高エネルギー波がミュリエルを包んだ…次の瞬間 パン! と音を立ててミュリエルが………『割れた』 普通ならここで大ダメージによるジャッジコールがあるか強制退場となるのだがミュリエルのそれはどちらとも明らかに違っていたのだ その証拠にまたしても勝者コールが聞こえてこない 『こ、コレはどういうことでしょう…ミュリエル選手が倒れたのに勝利判定がありません……』 プログラムエラーでないとすると結論は一つ ミュリエルはまだ……そこにいる 「なっ…確かに手応えはあったハズなのに……」 彼女の周りに散るのは拡散したミュリエルだった物と夜風に舞う桜吹雪 あとはそれを照らす荒城の月……ただそれだけでフィールドの中は風の音のみが不気味に聞こえる うろたえるレイア その動揺が彼女の警戒レベルを一瞬だけ落としてしまっていた 「………Lock 」 レイアの真後ろ… 『なっ!?』 「なんですって……」 《ライトオリジン》を再チャージし終えたミュリエルがその銃口をレイアの後頭部に突きつけていた 『…まだやるか、葉月?』 そこで葉月はやっと納得がいった顔をした 思い出したようだな 『なるほど、そうだった………ふぅ、ここまでみたいね…降参します』 『マスターギブアップ。勝者 ミュリエル!!』 『ぎ、ギブアップです!ミュリエル選手第一試合を勝利で飾りました!!』 呆然となる観客も少しづつ我にかえり拍手や喝采を送り始める 『みゅ、ミュリエル選手が再び現れました…で、では橘さん、先ほどのミュリエル選手はいったい…』 『アレはですね…』 『……バックパックに収納してあった衝撃吸収素材で作られた特殊ダミーバルーン…ですか』 『!!』 綾川さんが俺の言おうとしたことを当ててしまっていた 『彼女がミサイルの撃墜にバックパックを使わなかったこととも辻褄が合います。ミサイルの黒煙は隠れてフェイクのバルーンと入れ替わるためにあえて近くで爆発させたんですよ』 おかしい 『そして入れ替わり、相手の必殺技をやり過ごさせてその後の隙を突く…単純ですがバルーンを展開した後となれば見破るのは至難の業となります』 これは昴が八相の-メイガス-と呼ばれていた頃、あいつの異名の元となった戦術だ ただのフェイクではない 幻の数を多数出現させることができる香憐ねぇの『惑乱の蜃気楼』とは別の、 『完全に同一の物を複製したかのように…-増殖ーしたかのように見せるトラップスキル……ですね』 昔の昴を知っている俺や香憐ねぇでさえ見破るのは至難の業 戦ったことのない葉月にしても、知識としては理解していたはず だか結果としてやられているわけだ アレを見破れる人物なんて早々いないはず…なのに… 少し警戒して彼女を見ると、何事もなかったかのように「なんですか?」というような微笑で俺の顔を見つめ返してくる 『第一試合はアルティ・フォレスト選手とミュリエル選手が準々決勝進出を決めています。それでは一端、CMです」 彼女は…一体… 追記 「桜や、動きはどうなっとる?」 「今のところ、彼女からの新たな連絡はありません」 「そうか、挨拶では少し挑発してみたんじゃがのぅ」 「…調子に乗ってたら彼女に殺されますよ?」 「なんだかホントにシャレにならんの…謝っておいたほうがええか?」 「それが宜しいかと」 「しかし…このまま動かんとなると…ますます嬢ちゃんの言っとった線が濃くなってくるの…」 「…あと、フェレンツェ博士が何かに勘付いている様子でしたが…」 「彼は流石に鋭い。侮れんわい…だが、彼にも話すわけにはいくまいて。嬢ちゃんとの約束じゃからの」 「…兼房様、私で宜しかったのですか?」 「ふぉ。お主が鳳条の名参謀と呼ばれとるのはわしがそう言って回っておったからじゃ」 「は? はぁ…」 「ま、それだけお主を評価してると思っとくれ。ふぉっふぉっふぉ!」 「有り難う御座います、兼房様…」 続く メインページへ このページの訪問者 -